iCHi's diary~本は読みたし、はかどらず~

主に読書録。読み終えた本がこのまま砂のように忘却の彼方に忘れ去られるのが申し訳ないので、書き留める。要は忘れっぽい読者の読書日記。

「空蝉処女」~おとめ、と読むんですよ。

横溝正史の「空蝉処女」を読んだ。うつせみしょじょですって!キャーと思っていたら、「処女」とかいて「おとめ」と読ませるらしい。

 

ほーここはイコールなものなのか?ま、いいや。

どちらにしろすごいタイトルだ。

 

由利先生シリーズだか、由利先生が出てくる話は少ない。

落とし話や、まんまといっぱいくわされた、犯罪というよりいたずら?のような話が多い。

 

空蝉処女 「由利先生」シリーズ (角川文庫)
 

終戦によって、ようやく人間らしい感情を取り戻していた私は、何年かぶりで中秋名月を愛でる気になった。五分あまり歩いて大きな池のあたりにさしかかった時、突如として、うら若い女性の美しい唄声が聞こえてきた。声に誘われ竹藪の中へ歩を進め.た私は、はたとその場に立ち止まった。行く手の小高い段の上に、月光で銀色に輝くワンピースに竹の葉影を斑々とさせて、神秘なまでに美しい女性が佇んでいた……。ロマンチシズムの極致。数奇な運命を辿り、今蘇った横溝文学異色の名作。

 

表題作「空蝉処女」を含む9編。以下簡単に感想を。

 

「空蝉処女」

月下の下に歌を口ずさむ美女は記憶喪失であった。

(ちなみに口ずさむ歌は「山のあなたの空遠く~」※)

うーん、美しい。なんにせよ、記憶も戻るし、謎も解決する市よかったよかった。

当時は、はやり既婚者と処女の区別というか差別はものすごかったのだな。

おとめの価値バリ高

 

 

玩具店の殺人」

絵面を想像すると美しい。闇の黒と血の赤、そしてカラフルなおもちゃたちの取り合わせがいい。

 

「菊花大会事件」

なぜか大阪弁の「宇津木俊介」が登場して思わず二度見する。

三津木俊介にしなかった理由はわからないけど、宇津木君の方がやや御しやすそうである。こっちが先だったりするのかしらん。

物語は、暗号もので結構重たいもので暗号を作るのだが、暗号作り終わったときには汗だくだろうと思われる。 

 

 

三行広告事件」

由利先生と三津木俊介コンビの短編。戦争色が強く出ていて、

(敵のスパイとか、鬼畜米英とか言っちゃってて)私たちが期待しているおおらかな時代のミステリーではないのが残念。

 

「頸飾り綺譚」

どうしても思い出せぬ。読んだはずだが。

 

「劉夫人の腕環」

美女とやたら目が合った時はご用心。

 

「路傍の人」

超推理力を持ってしまった、探偵の業を背負って生きているような登場人物が出てくる。ホームズは依頼人の素性をぴたりと当てるし、一応そう考えた理由が述べられるのだが、彼は違う。

とりあえず説明はできないけど俺にはわかってしまう!のであって、殺人犯がわかってしまっても動機にも興味がないし、警察に通報もしないのである。

強烈なキャラクターなので、これで誰かシリーズものを書くとよいのに(笑)

 

「帰れるお類」

お類さん、帰れてよかった!危うくくそ見たいな男と駆け落ちしちゃうところだったね。駆け落ちするつもりの相手からあんな手紙をもらったら、ほんとたまらん。

 

聡明なあなたがよもや本気にするとは思わず、ここにも来ていないと思いますが、万一のことを考え、この手紙を見も知らぬ車夫に託しておきます。あなたが来ていたとしても来ていなかったとしても、僕には一切わからないのでどうぞ安心してください。

 

ホントはもっと長ったらしいけど、嫌味を嫌味で挟んだ最悪のミルフィーユや!

お類さんマジでこんな奴と駆け落ちなんかしないで、少々だらしなくて不甲斐なくて金もないけど優しい旦那のところに戻れてよかったと思うよ。

 

「いたずらな恋」

まいったね、どうも。という感じの落語ような話。

全く人を食ったような夫婦もいたものですね。有閑マダムおそろしい・・・

旦那もかなり変態だと思うよ。

 

 

すべてあわせて、「異色の」短編集。だが「ロマンティシズムの極致」とまでなる盛りすぎでしょう。

 

だ・れ・か ロマンティック と・め・て~

 

 最後に「山のあなたの空遠く~」※といえばどうしても、広くみんなに知ってもらいたいこちら。桂枝雀師匠の「山のあなた

 

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幸せな気分になれる落語である。大好き!