恩田陸の「私の家では何も起こらない」を読んだ。
小さな丘の上に建つ二階建ての古い家。幽霊屋敷に魅了された人々の記憶が奏でる不穏な物語の数々。キッチンで殺しあった姉妹、少女の傍らで自殺した殺人鬼の美少年…。そして驚愕のラスト!
これね、じわーっとくるやつですよ。何も起こらなくないなやん、おこるやん!
常々、恩田陸の頭の中って一体どうなってるんだろう、と思っていたけど、この本でもまたその感じを強くした。
丘の上に建つ洋館に住む「私」は結局なにものなのか?
かつては幽霊屋敷といわれたこともあったようですが、こんな気持ちのいい家で何か起こるわけありませんわ、オホホ。
って感じで語っちゃうのであるが、 その語っている人自体がだんだん生きている人間かどうか怪しくなってくる。
ほら、そこにいるじゃない!気づかないの??後ろ後ろ!という感じ。
連作短編集なので一つ一つの話は、それぞれ雰囲気が違うというかなんというか。
それこそ直接に怪異が描かれていいる話もあるのだけど、におわせ系というか、あと考えればゾットする話だったり、なんだかよくわからなかったり・・・
最後付記で、世の中に人が死んでいない場所などないのだから、ある意味幽霊屋敷でない屋敷はないのではないかしら。だから、人が死んだ記憶が残っている場所はそんなに珍しくないし恐れる必要もないのよ、って感じで締めようとするのですが、最後の最後でまたその語っている人物が自分が死んでいることに気づいていない死者なのでは?と感じさせて終わります。
読後感はよくわからんけど、乾いた怖さというか・・・
それにしても、短編としても成立しつつ、一冊全部読んだ後でいろいろつながっていることが分かってじわじわ来るこの感じ。やっぱり恩田陸の引き出しは多いわ。