iCHi's diary~本は読みたし、はかどらず~

主に読書録。読み終えた本がこのまま砂のように忘却の彼方に忘れ去られるのが申し訳ないので、書き留める。要は忘れっぽい読者の読書日記。

当時のなろう系?「黄金の指紋」「真珠塔・獣人魔島」

横溝正史の「黄金の指紋」と「真珠塔 獣人魔島」をよんだ。

どちらもジュブナイル、言わゆる青少年向けの(横溝正史にしては)健全で明るい物語である。

 

 

 

「君に預けておく。これを金田一耕助という人に渡してくれ……」そう言って難破船の遭難者が死ぬ前に言付けた黒い箱。邦雄少年が中を開けて見ると、それは燦然と輝く黄金の燭台だった。思わず息をのみ慌ててしまおうとした時、彼は妙なことに気がついた。燭台の火皿に指紋が一つ焼きつけられていたのだ。邦雄は知らなかったが、これこそ一人の少女の運命を握る大切な証拠の品だったのである……。巧みな変装術と鮮やかな推理で事件の核心に迫る金田一耕助の活躍!

 

 久しぶりに金田一耕助を読んだのだけど、どちらかというと主役は邦雄少年で少年の勇敢さや機転によって、大金持ちのお嬢様を危機から救い出すという大変わかりやすいストーリー。ひねくれた大人にはちょっと、いやだいぶん物足りない。

 

しかし、このお嬢様もたいがいな目にあわされちゃうのである。スケバン刑事でお馴染みの鉄仮面などかぶせられたり、麻袋に入れて海に投げ込まれたり。

 

今でいう青い鳥文庫に入れられるギリラインを責めているあたり、さすがだよ!横溝先生!

 

 

真珠塔・獣人魔島 (角川文庫)

真珠塔・獣人魔島 (角川文庫)

 

翼から鬼火のような青白い光を放ち、夏の夜空に舞う無気味な金色のコウモリ。すると、必ずどくろの仮面をつけた怪人・金コウモリによる殺人事件が。探偵小僧の異名をとる御子柴進少年は、ある夜、この金コウモリを目撃、直後に女性の変死体を発見した。憧れの事件記者・三津木俊助の助手を務め、事件の真相解明に乗り出した進少年だが、二人の上に、恐るべき怪人・金コウモリの魔の手が……。表題作ほか一編を収録。 

 

さて、やっぱりジュブナイルだったのだがこちらは由利先生とコンビを組んでいる三津木俊介が出てくるやはりジュブナイル

御子柴進という少年が活躍するのだが、この少年が三津木俊介と組んでたくさんの難事件を解決!ってさらりと書かれているが、由利先生は残念ながら1ミリも出てこない。

しかも、真珠塔の方で出てくる金コウモリの怪人が、胸にコオモリのマークがついていたりして、完全にバットマンな気がする。

コチラも大金持ちのお嬢様を救いますよ!

 

そして、獣人魔島の方は乱歩の孤島の鬼を思い出させる展開にちょっとドキリとさせられる。

しかもさすがに簡単には終わらず何回もひっくり返るストーリー。進少年なんて、探偵小僧と呼ばれているのよ!そしてやっぱり大金餅のお嬢様を・・・以下略。

何だよ、少年はこういうの好きなのかしら?

 

ただし、ゴリラの体に人間の脳を移植して、最強の体と最高の頭脳を持つ生物を作るというどこかで聞いたような荒唐無稽(失礼)な話なので、さすがに令和の今、少年たちでも突っ込むのではなかろうか。

 

あ、でも令和でも「転生したら」っていうお話が大流行なのでいいか。

何だろう、みんなゲームみたいに人生をリセットしたいのかしらね。

おばちゃんのつぶやき。

まあ、一冊も読まずに馬鹿にしてはいけませんな。

今度は私もなろう系小説をよもう。子供の心を忘れない大人になろう!

(ってそういうのいいからとマジで娘から止められそう)