iCHi's diary~本は読みたし、はかどらず~

主に読書録。読み終えた本がこのまま砂のように忘却の彼方に忘れ去られるのが申し訳ないので、書き留める。要は忘れっぽい読者の読書日記。

「悪魔の家」由利先生頑張って!

横溝正史の「悪魔の家」を読んだ。

 

 

悪魔の家 「由利先生」シリーズ (角川文庫)
 

 

武蔵野の面影をとどめた杉並木に生暖かい夜霧が立ちこめる人けのない道。帰途を急ぐ新日報社の花形記者三津木俊助は、背後に尾行者の気配を感じてふと立ちどまった。意外にもそれは若い女だった。夜道の一人歩きが怖くて、と女は詫びた。うち解けた二人が善福寺池のほとりへさしかかった時、突然女が悲鳴を上げた。「悪魔が!」と女が指さす杉木立の向こうには、グロテスクな顔がボーッと浮かび上がり、無気味な笑い声が聞こえて来た……。表題作ほか六篇を収録した傑作短編集。

 

表題作のほか6編は以下のとおり。

 

広告面の女

まるで屋根裏の散歩者のように、隣の家を覗くことで知らなくてもいいことを知ってしまう主人公。巻き込まれてしまった多大事件に、いやー平凡が一番だよ、と思う話。

はは、これだけじゃ何を言っているのかわからんけど。

 

悪魔の家

表題作。さみしい夜道をを歩いている三津木俊介が何者かにつけられている!とおもったらば以外にもか弱そうな女性。

「すみません、夜道が怖くてご同行願えませんか」的なことを言うのである。

今だったら逆ナン?としか思えない案件だが、昔は結構こういうこと多かったのかな~

横溝先生の他の話でも確かこんなシーンを幾度が読んだ気が。

古き良き時代だなぁ。

 

一週間

事件がなかったら作ったらいいじゃない。

とまるでパンとケーキのように、とくダネをすっぱ抜くために事件を自作自演した新聞記者の慎介。その試みはうまくいっているように見えたが・・・

何者かが彼のたくらみを見抜いて、一週間で極楽から地獄のジェットコースター気分を味わう羽目に。

最後に同僚の記者が彼に投げかけたセリフが秀逸。

 

薔薇王

 

(ほぼ死語だけど)おきゃんでおチャッピーな女流小説家がレストランの食事の帰りに思わぬ落とし物、ハンサム青年を拾ってしまう話。

実は結婚式場から逃げ出してきた花嫁。ならぬ花婿だったのだ。

彼は詐欺師なのか?それとも・・・という話。

しかしその思わぬダンディーさに興味をひかれた彼女は、彼を探そうと頑張るのだが、

そこには、過去というか親世代の恋愛のいざこざが絡んいた。結局誰も悪くないんだよねーという話。

 

 

黒衣の人

 

由利先生と三津木俊介が出てくる。けど、なんか活躍しているのかしていないのかわからぬ間に、親の因果が子に報い~的な感じであっさり解決。

いや、確かに読んだけどあまり心に残らなかった一遍。

 

嵐の道化師

 

三津木俊介大活躍の話。

心中一歩手前のカップルが、思わずアクシデントで死んでる場合じゃない!となっているところに現れる三津木俊介。

 

登場シーン自体が、自信満々

「略~なに、いずれわかることですから正直にお話しくだすったほうがいいのですよ。僕はこういうものですが。・・・・」

ドヤっとばかりに名刺を出す。それは警察手帳か葵の御門か。

 

とりあえず、三津木君絶好調で等々力警部とも「肝胆相照らす仲」だそうだ。

 

※肝胆相照らす仲とは

「肝胆」は、肝臓と胆嚢のことで、どちらも生命を支える大事な臓器であることから、転じて「心の奥底」「真実の心」という意味。 「照らす」は「知り合う」ということ。 互いに心の中まで打ち明けて、理解し合い、親しく付き合うことをいう。

 

ほほう。(BのLじゃありませんように・・・)

 

湖畔

 

湖畔の町で知り合ったちょっと変わった老人。日によって何となくとっつきやすかったりにくかったり・・・かすかな違和感を感じつつ、親交を深めていった「私」と老人だったが、ある日を境にぱたりと姿を見なくなる。

 

数年後にまたであった老人が説明する、何とも奇妙な話とは・・・

うーん、冷静に考えれば「そんなことあるかーい!」ていう感じだの話だけど、これはこれで世にも奇妙な物語的な味わいのある作品。

 

まとめて感想

なんというか、短編集の感想を書くのは一話一話思い出しながら書くので疲れる。読んでる分にはサクッと読めて楽しいんだけどね。

ほぼ自分の忘備録のために書いているようなもんなので、できれば全部の話を記録したい。でも、気力がなくて毎回は記録できないのが、ちょいと残念。

 

由利先生シリーズとは言え、由利先生が出てこない話も多い。

今回の話は、ほんと若いころの等々力警部と三津木俊介の仲の良さとかが読みどころか。