横溝正史「山名耕作の不思議な生活」を読んだ。
家並みもまばらな田舎くさい町の片隅に、十度ばかり往来に傾いたみすぼらしい家がある。その家には、天井がわりに設えた奇妙な棚があった。これこそ、あの有名な奇人山名耕作の住まいである。洗いざらしの浴衣によれよれの帯を締めたその装いは、至極この部屋に調和する。だが、頭をきれいに刈り込み、顔もきれいにそり、爪にはマニキュアを施す凄じさ。その彼が恋愛をしているらしく、私は大変興味を持った……。横溝文学の原点を探る初期短編傑作選〈昭和編〉!
横溝先生は耕作っていう名前好きだな!
それに、山名耕作といえば真珠郎にも出てくる好?青年ではなかったか?
こちらの真珠郎に出て来る耕作とは多分別人で、ミステリというよりも少し不思議な話というか、ちょいと気の利いた話というか…最後は気が触れて、しまうのだ。
(あれ?気が触れるって使っていい言葉だったっけ?横溝先生の戦前の話をそのまま書いちゃうと、今現在結構なんかしらのコードに触れちゃいそうだから、な)
すざましいほど赤貧生活を送る山名青年。そこそこの給料をもらっているはずだし、なにより見た目だけは気を遣っているらしく、美爪術とやらを施している、つまり一部のスキもないオシャレさん。
でも、おかずは梅干しの皮を粉にしたもので済ます。
(そこそこ美味しそうだけど)それって落語であったなー
ケチ自慢の上方落語。。。
あ、始末の極意だ。すっきり。人間国宝の米朝さんの落語をぜひ。
あ、落語では梅干し食べてなかった。凝視して出てきた唾液でごはんをかっこむんだった。
というわけで、耕作まだまだいけるぜ!
※2023.1追記 ココにYoutubeの動画を貼ったら駄目なんだって(知らなかった)
というわけで、米朝さんの落語は各自何かしらの手法でお楽しみください。
めっちゃ、面白さをシェアできなくて残念。
全然関係ないけど、米朝って聞くとアメリカ北朝鮮って思う人と、桂?って思う人がいると思うが私は完全に後者だ。
だいぶん話がずれたけど、この話もオチがあって、人生って皮肉だねーと言いたくなる読後感。
他にも以下の話を含む短編集。
鈴木と河越の話
ネクタイ綺譚
夫婦書簡文
あ・てる・てえる・ふいるむ
角男
川越雄作の不思議な旅館
双生児
ある女装冒険者の話
秋の挿話
カリオストロ夫人
丹夫人の化粧台
—『山名耕作の不思議な生活 (角川文庫)』横溝 正史著
https://a.co/aSGjX4o
カリオストロ夫人と角男がおもしろかった。
どちらもミステリじゃなくてどちらかというと、ショートショートみたいな感じの読み応え。
横溝先生のオドロオドロした部分を期待したら裏切られるかもしれない。
でも、戦前の雰囲気をたっぷり楽しむことが出来る作品。