澤村 御影の「准教授・高槻彰良の推察 民俗学かく語りき」を読んだ。
「怪異は、現象と解釈によって成り立つんだよ、深町くん」
人の嘘がわかる耳を持ち、それゆえに孤独になってしまった大学生・深町尚哉。
なんとなく受講した「民俗学2」のイケメン准教授・高槻になぜか気に入られ、
怪異に出会うとついテンションが上がってしまう彼の「常識担当」として助手をすることに。
高槻のもとには、奇妙な事件が次々と持ち込まれ――?
准教授といえばすでに火村英生というヒーローがいるし、民俗学(妖怪関係)といえば京極堂夏彦という第一人者がいる。
そこに切り込んでいくには、あまりにも軽めの食感というか、
読みやすいんだけども少々物足りない。さっくさくすぎるのだ。
火村英夫がスパイスカレーだとしたら、おまけでついてくるせんべいのような。
(まったくわかりにくいたとえ故、写真をつけてみた↓)
カレー屋さんとかで出てくるこれ、美味しいよね!
京極夏彦がきんつばとすれば、ウェファースのような。(まだいうか)
主人公の高槻彰良准教授は「すごいイケメン」ただし「ザンネン」な。
専門は都市伝説の研究とかで、ツチノコの下りが面白かった。
嘘の情報がこの手の研究にどれほど悪影響を及ぼすかという話なんだけど、うそを信じて教授が現地調査に行く→地元の人は「大学の先生が来るくらいだからツチノコのうわさがあるのだ」とおもう。→幽霊の正体見たり枯れ尾花、じゃないが悪気もなく、何かをツチノコと間違える。
最初はうそだったのに、確かにツチノコを見た土地になり、全国のツチノコハンターにとっては大変な迷惑になるのである。
最初からマユツバなツチノコだが、うそからマコトが出てしまうという。
こんなことが色々な場所で起こっているに違いない。
いくつかの事件を解決するんだけど、全ての話がもののけつもりで調査していたら、人間の仕業で、やはり一番怖いのは、霊や妖怪ではなく人間ですなーという話。
高槻准教授の持つ謎も提示されて二巻、三巻へと続く模様。
ツッコミ役のナオヤもなかなかの過去をお持ちなので、これから解明されていくんでしょう。
どろっとしてないあっさりしたミステリーがお好きな方にオススメ!