iCHi's diary~本は読みたし、はかどらず~

主に読書録。読み終えた本がこのまま砂のように忘却の彼方に忘れ去られるのが申し訳ないので、書き留める。要は忘れっぽい読者の読書日記。

愛したぶんだけ愛されたいとおもうのがいかんのだ「恋愛中毒」

超久しぶりに恋愛小説を読んでみた。たしか、どちら様かがおすすめしていたので。

でも、読み終わって思うが、これは恋愛小説というよりは犯罪小説(クライムノベル)もしくはホラーだった。

 

恋愛中毒 (角川文庫)

恋愛中毒 (角川文庫)

 

 


主人公の水無月は今は、冴えない事務員として淡々と仕事をこなしている。
おばさん扱いされても平気だ。

だが、ふとしたことから記憶の蓋がこじ開けられ長い回想が始まる。

水無月はストーカーとして実刑判決を受けたことがあるのだった。

最初は、普通にどこにでもある離婚し次の出会いが始まる話だったが、
語るにつけ段々と彼女の恋愛についての異常な執着が見えてくる。
何度も何度もこんな生き方しかできない自分をさいなみながら、
好んで破滅していくようにも見える。
特に後半の畳み掛けるようにクレージーになっていく様はすでに恋愛ではなく執着、呪いに近い。

しかも、段々とその異常さが現れてくるところは怖すぎてホラー小説だった。
犯罪者として壁の向こうに行った人と自分は、ずいぶん違うと思っていたけれど、
実はそうでもなくて地続きの存在なのである。
誰だって、愛する人を独占したいし愛した分だけ愛されたいと思っている。
でも、水無月の愛は間違っていた。独占するために手段を選ばなかった。

きっかけが誰にでもあることだけに、この発展の仕方が気持ち悪い。
救いは、今落ち着いて働いているところか。

ざわざわした気分、ストーカー犯人の気持ちを知ってみたいと思う方におすすめです。